近年ブームになっているマラソンやランニング。
当院にも大会に出たり、趣味で走っていたりする方が多くいらっしゃいます。
みなさんやり過ぎには注意していますか?
特に気を付けて欲しいのは、今まであまりしていなかった運動を始める方。
運動を始めるのはとても体にとって良いことなのですが、同時に体のケアも怠らないようにしましょう。
走ったり飛んだりした後に足の脛が痛む、という症状に心当たりがある方は「シンスプリント」の可能性があります。
今回はシンスプリントになってしまう原因と自分でできる対処方法をお伝えしていきます。
シンスプリントとはどの様な状態なのか?
シンスプリントとは足の脛の骨の部分に起こる、いわゆるオーバーユース(使い過ぎ)が原因で痛みが出る障害です。
別名、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)とも呼ばれます。
詳しく言うと、脛(すね)の骨は脛骨(けいこつ)と呼ばれ、その周りには多くの筋肉がついています。
中でも脛骨の内側につく、内側筋群やヒラメ筋の疲労、柔軟性の低下が原因で、脛骨の表面を覆う骨膜部分と筋肉の付着部で起こる、骨膜の炎症、と言われています。
特に最初からハードに取り組みがちな人に見られやすいスポーツ障害で、運動部に入部したばかりの中高生にもよくみられます。
主に脛骨(けいこつ)の内側中〜下1/3部分に圧痛、運動痛、熱感、があらわれます。
痛みを我慢して運動し続けてしまうと疲労骨折にもつながるスポーツ障害ですので、我慢せずに早期に治療しましょう。
また、ジムによく行く方にもでもたり、営業などで歩く方にも起こります。
症状の程度分類
Stage1:痛みはあるがウォーミングアップをすると消失する
Stage2:ウォーミングアップで痛みが消失するが、スポーツ活動終了頃に痛む
Stage3:日常活動に支障はないがスポーツ中、常に痛む
Stage4:局所の痛みは常にあり、日常生活にも支障がある
上記4の段階に分かれています。
シンスプリントは骨自体になにか異常がある、というわけではないのでレントゲンで異常はみられません。
痛みの出る場所も同じで似た症状ですが、脛骨が疲労骨折している場合もあります。
自分や親御さんでも見分けるのは難しいので、一度専門機関に連れていき、画像診断をもらうといいでしょう。
また、疲労骨折をしていると触れただけでも激痛が走るくらいまで痛みを感じてしまいます。
シンスプリントの原因
先ほども述べたように、シンスプリントの主な原因は使い過ぎなのですが、運動している誰しもがシンスプリントになるわけではありません。
練習量、練習法
使い過ぎが原因であるため、練習量が多すぎる、急激に増やす、というのも当然原因の一つです。
特に同じ動作を繰り返す、反復練習をやり過ぎると原因となることが多いです。
体の歪み、足の形や癖、運動動作、走るフォーム、などによってもシンスプリントになるかどうかがわかれます。
走る時に股関節〜足首を結んだラインよりも膝が内側に入っていたり、逆に外側に出ていたりすると、必要以上に足裏に負担がかかりスネの筋肉が引っ張られます。
上記の状態が正常です。
しかし下の写真の様に
膝が内側に入ったり、外側に出る場合はでも膝や脛に大きな負担がかかってしまいます。
足が地面に付く際に回内(X脚)、回外(O脚)になると、土踏まずに負担がかかりやすくなります。
回内足、回外足(回内足とは、両足で真っ直ぐ立っていて後ろから見た時に踵の骨、足首の軸が八の字型に傾くこと。逆八の字の場合を回外足という)
上記の様に足首が捻れている状態になると足の筋肉に負担がかかってしまうので痛みを生じてしまいます。
どちらの場合でもいえることですが、脛の筋肉は土踏まずの部分で繋がっています。
足首が回内・回外どちらになっても脛の筋肉が過剰に引っ張られてしまいます。
自分がどちらのタイプの脚か見分ける方法は、靴の裏を見てみてください。
踵の内側がすり減っていれば回内足、外側がすり減っていたら回外足です。
特に偏平足と回内足の人はシンスプリントになるリスクが極めて高いと言われています。
他にもO脚や外反母趾は重心にズレがある為、フォームが崩れやすく、シンスプリントになりやすいです。
環境的要因
練習を行う環境によってもそれが原因となる場合もあります。
- もともとグラウンドで走っていたのが、アスファルトで走るようになった
- 同じ方向ばかりに回りながら走っている
- 傾斜の道を走っている
- シューズが合っていない
- 運動量と体力が見合っていない
などのことが考えられます。
この様な場合は自然と足に負担がかかり過ぎてしまっていると考えられるので、治せるところから治す必要があります。
シンスプリントになった時の対処法
シンスプリントになったときの一番大切な対処法は「休息」です。
休息をとりながらストレッチを行ったり、痛みが減ってきてから再発をしないようにフォーム改善などを行っていきます。
練習を休んだり、体をストレッチでほぐすことが一番重要です。
特に軽度の時に治すことに専念して練習を休むことが早期治癒への一番の近道です。
なかなか治らない、早く治したい、早く練習したい、という思いで焦ってしまい、まだ治癒していないのに練習を再開してしまうと症状が悪化して更に治りが悪くなります。
運動再開の目安は
- 歩いたり動いたりしても痛くない
- 全力で走ったりジャンプしても痛みが出ない
- 痛みが出そうな怖さがない
この3点です。
少しでも痛み残っていたり、痛みが出そうな怖さが残っている段階では運動を再開することはお勧めできません。
強い痛みを感じる時はアイシングも必要です。
運動後に必ず氷嚢、もしくは氷水で患部を15〜20分ほど冷やします。
アイシング後に血行促進のためにストレッチやマッサージを行いましょう。
シンスプリントを早期で治すには冷やす事も大切ですが、温めて血流を良くしていく事も大切です。
お風呂などが一番ベストです。温めるメリットとして
- 筋肉を温めて運動を機能を向上させる
- 損傷部分の回復を促す
- 筋肉を柔らかくする
この3つがメリットです。基本的には運動後や良く歩いた後は一度冷やして、あとは基本的には温めて血流を良くしてあげましょう。
シンスプリントに効果的なストレッチ
シンスプリントに効果のあるストレッチを3つご紹介します。
足裏〜ふくらはぎのストレッチ
壁がある所に立ちます。
伸ばしたい方の脚を前に伸ばし、壁につま先を付けて行きます。
ふくらはぎに少し突っ張ったような感覚が出る程度で大丈夫です。
突っ張っている筋肉を10回程さするようにして触ると突っ張る感覚が少し和らぎます。
反対側も同様に行いましょう。
脛の筋肉を伸ばすストレッチ
まずは正座になります。(この時点で脛に痛みが出る場合はこのストレッチはしないでください。)
片側の膝を上に持ち上げます。(やりやすいように上半身は手をついて支えて大丈夫です。)
膝を持ち上げた状態で30秒ほどキープ。これを両側行います。
続けると、だんだん膝の上がる角度が高くなっていきます。
足指・足首をほぐす
椅子に腰かけた状態で片側の脚を胡坐をかくようにして反対側の膝の上に置きます。
曲げた方の足の指を、曲げた足とは反対側の手で足裏側から指の間に手を入れ掴みます。
曲げた足側の手は曲げている足の足首をしっかりと握り、固定します。
その状態から足指を握っている手をゆっくり時計回りと反時計回りにそれぞれ20回ずつ回します。
反対側も同様に行います。
ストレッチは無理せず行うのが原則です。
伸ばすと痛い、動かすと痛い、という方はまだ安静にする必要があります。
痛みが引いてから徐々に動かしていきましょう。
シンスプリントのテーピング
シンスプリントのときに使うテーピングは固定することが目的ではないため、伸縮性のあるキネシオテープを使います。
脛の部分に貼る
前のスネの筋肉が硬くなっていたり、パンパンになっている状態は、つま先を伸ばした状態で、脛の筋に沿って縦にテープを貼ります。
手順
仰向けで寝て脛を立て状態にします。
足の甲側、内側から足首を通り脛の前を貼ります
引っ張らずに上から貼りつけるようなイメージで張り付けて下さい。
*本来テーピングは皮膚を貼った状態でしますが、シンスプリントの場合、足の筋肉に力を入れた状態でした方が痛みが軽減します。
*テーピングは必ず伸縮性の物を使って下さい。
ふくらはぎ〜踵まで全体に貼る場合
手順
足首を立てて足首が90度になるようします。
踵からアキレス腱を通りふくらはぎに沿わします。
踵からふくらはぎの内側を通って膝裏まで筋肉に沿うようにゆるくカーブさせて貼ります。
同じように、内外が対称なるように外側も踵〜膝裏まで貼ります。
ふくらはぎが硬くなっている場合は、ふくらはぎ全体にテープを貼ります。貼る前に角を少し切り落としておくとはがれにくいです。
まとめ
シンスプリントは軽度であれば早期に治療に専念することで1〜2週間程度の安静で症状が改善します。
繰り返してしまっていたり、我慢して運動を続けてしまうと、疲労骨折に繋がったり、症状改善まで1〜2か月ほどかかる場合もあります。
大事なのは痛みが消えるまで安静にすること。それから再発しない様にフォーム改善を行う事。
今回はあくまでシンスプリントについてや症状が出た時の対処法をお話させていただきました。
原因はさまざまで、自分の場合何が原因でそうなってしまったかを知らないと、根本的に改善したり再発を予防することができません。
特に身体的要因は自分では気づきにくい原因です。
症状が出た時は我慢せずに早期に専門機関へ行き、治療をはじめましょう。
ひこばえ整骨院のシンスプリントの治療手順
「足底腱膜炎の本当の原因」のところでお話したように、そ治療としては足裏だけの治療や対処法では根本的に治すことができません。
足の筋肉の柔軟性をつけたり、偏平足やハイアーチを治すためにも必要なのは
体の軸を治すこと。
そこから歩き方や立ち方を改善していくことで、シンスプリントの治療に繋がります。
そのため、ひこばえ整骨院ではまず体のバランス、立ち方や歩き方の癖を確認し、足裏だけではなく足首・股関節・骨盤・腰・背骨の軸を整えるよう施術します。
足裏だけの治療だと、その時の痛みは取れても時間が経つとまた痛みが再発してしまうからです。
早期治療、根本的に痛みの原因を改善する為にも全身を施術します。
そして日常生活で必要な気を付けるポイント、歩き方立ち方の癖を治す為に必要なアドバイスもさせて頂きます。
そうすることで再発を最大限に防ぐことができるのです。
同じ症状で悩まれている方がいても、全員が全員同じ原因ではありません。
そのため一人一人お話をしっかりと聞かせて頂き、治療にはいります。
もし、あなたやあなたの周りでお困りの方がいらっしゃいましたら、一度ひこばえ整骨院にご相談にいらしてみてください。
執筆者
ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)
柔道整復師(国家資格保持者)
業界歴16年。
18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。
現在ストレッチの本を執筆中。年内に発売予定。