長時間立っていたり、歩くとお尻から足が痛い、座っているとお尻が痛い、お尻から太もも、足の外側にかけてしびれたり痛みがある。
あなたはそのような症状で悩まされていませんか?
整形外科などでレントゲンを撮っても異常はなく、ヘルニアでもない。
あなたのその悩み、『梨状筋症候群』かもしれません。
骨盤を形成する骨の1つで仙骨という骨から大腿骨にかけて付着する梨状筋という筋肉があります。
梨状筋はかなり深い所ににある筋肉で、その下を坐骨神経という下半身に伸びる大きな神経が通っています。
俗に梨状筋症候群は坐骨神経痛として片づけられてしまう事もあります。
この梨状筋が様々な原因により坐骨神経を圧迫してしまうことで臀部〜下肢の痛み、しびれを引き起こします。これが梨状筋症候群です。
特徴としてお尻やお尻から下肢にかけて痛み、しびれがある場合に仰向けに寝て脱力した時、異常がある側の足先が外側に向いていると、梨状筋症候群の可能性が高くなります。
梨状筋ってどこにあってどんな役割をするの?
梨状筋症候群のストレッチをお話する前に、梨状筋症候群の場所をしっかりとお伝えします。
梨状筋は写真の様に、骨盤の表側(お腹の側)から股関節外側につきます。
この筋肉の主な役割は
股関節を外に向ける
この様な動きをします。
梨状筋症候群になる方の特徴として、運動をしている方(特にサッカーやマラソン)に多く発症する傾向にあります。
運動をしている方は単純に使い過ぎ、もしくは使い方が悪い状態になっています。
梨状筋の下に坐骨神経はある為に、この筋肉が使っている状態になると痛みやしびれを出します。
仰向けに寝た時に写真のような足になっている方は梨状筋が収縮(固まって緩んでいない状態)になってしまっています。
体を安定させるためには欠かせない筋肉の一つです。
梨状筋症候群はなぜ起こってしまうのか?
梨状筋症候群の原因は様々です。
デスクワーク、運転などで長時間座ることが多いと常にお尻を圧迫し続けることになります。
神経にも血液から酸素が運ばれる栄養が必要です。
単純に圧迫され続けると、それが原因でお尻周辺の血流が悪くなり、乳酸が蓄積していきます。
栄養が与えられなくなった神経は、細胞の修復ができなくなり神経が傷ついていき、痛みやしびれなどの症状を引き起こします。
他にも、上記でご説明した通り、梨状筋は股関節の外旋(外に向ける)携わる筋肉であり、使いすぎや引き伸ばされつづけるようなことでも拘縮が起こります。(硬くなってしまう事です)
歩き方、姿勢ががに股傾向の場合、梨状筋は収縮しっぱなしとなり、過緊張状態になります。
逆に、座っている時に膝を股関節より内側にしてしまう癖があると、梨状筋は常に引っ張られた状態になります。
梨状筋症候群は梨状筋の過緊張から来ることが多く、梨状筋やお尻周りの筋肉を柔軟に保つことが症状改善にとても重要になります。
それとともに姿勢や体の使い方からくる梨状筋症候群も多く、これらは姿勢を改善するとともに崩れてしまった体のバランスを整えることが大切です。
梨状筋は骨盤をつなぐ仙腸関節をまたぐ筋肉です。
仙腸関節の動きが悪かったり、捻じれてしまっているとそれだけ梨状筋の緊張も起こりやすくなります。
仙腸関節の異常は主に姿勢から引き起こされますので梨状筋症候群の治療に姿勢の改善は不可欠になります。
現代の日本人のデスクワークの多さや姿勢の崩れ方ではお尻の表面につく筋肉群の筋力低下によって梨状筋症候群が引き起こされるとも言われています。
よく歩くのに、しっかり運動しているのに、という方は体の使い方が悪く、お尻周りの筋肉をバランスよく使えていない、ということが考えられます。
梨状筋症候群の対処方法
梨状筋症候群はストレッチが有効な対処方法になります。
整形外科などでは抗炎症剤など内服薬や湿布を処方されたり、電気治療などを受けることが多いでしょう。
他にも、神経ブロックなども行うことがありますが、術後しばらく足に力が入りにくくなるなどの副作用がでてしまうこともあります。
保険の効く整骨院や接骨院だとお尻周りのマッサージをする事が一般的です。
かなり症状がきつい場合には、手術の適応になることもありますが、これはもともと梨状筋と坐骨神経の通り道が複雑になっている人の場合が多く、手術に至るケースはまれだと言われています。
基本的には先ほど述べたようにストレッチが対処方法としては非常に有効になります。
今か言うストレッチをまずは行なって下さい。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ1
椅子に座った状態で、片足の足首を反対側の膝に乗せます。
この状態で一度骨盤を立てるように姿勢を正します。
そのままゆっくり体を前に倒していくことで、膝に足首を乗せた側の足のお尻から太ももの外側にかけてストレッチされていくのがわかります。
体を前に倒していく際、背中を丸めるのではなく、背筋は伸ばしたままお腹をふくらはぎに近づけるよう意識しましょう。
左右15秒〜30秒かけてゆっくりしっかり伸ばします。痛みがある方を長く行なっても大丈夫です。
痛みが出るようであれば倒れ方を緩めて可能な範囲で行います。膝に乗せるだけでも伸びる感覚があれば、体勢でいるだけでもストレッチになります。
このストレッチはとても万能です。梨状筋症候群の場合には必ず行うようにして下さい。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ2
仰向けで寝た状態で痛い方の足側の膝を立て、反対側の足の外側に足を置きます。
立てた膝、もしくは太もも付近と曲げた足の骨盤付近を軽く手で押さえ、両の手を下方に抑えるようにします。
膝付近に置いた手の圧に軽く反発するように曲げた足を開くようにして力を3秒間加えます。このとき息を吸うようにします。
力を入れた後、今度は完全に脱力しながら膝を内側に倒し、ストレッチをかけながら息を吐き出します。
これを3回繰り返します。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ3
床に座り両足の間隔を広くして膝を立てます。
立てた膝を片方ずつ膝を床に近づけるように内側に倒していきます。
左右順番に15〜30秒間伸ばしていきます。これを3繰り返します。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ4
仰向き寝ます。
両手を真横に広げ手のひらを上に向け、両膝を曲げます。
足幅を広くし、片方の膝を床に近づけるように内側に倒します。
倒した膝の上に反対側の足のかかとを乗せて重みでストレッチをかけていきます。
同時に膝を内側に倒した方の足側の骨盤を手で軽く押さえて骨盤が浮いてこないようにします。
この時顔の向きは骨盤を押さえた方に向けます。
ストレッチ中は深く呼吸をつづけ、15〜30秒間かけてストレッチします。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ5
仰向けになり、片方の膝を立て反対側の足を胡坐をかくようにして曲げて立てた側の膝に乗せます。?その状態のまま立てた膝側の足を抱えこむようにして胸に引き寄せます。
このまま15〜30秒間維持します。
左右2回ずつ行います。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ6
床に座り片方の足を外側に90°曲げて倒し、開いた状態にします。
反対側の足は体の後ろに下げた状態にします。
この状態で両肘を体の前に付くように上半身を倒します。
このとき曲げてる足の方に力が入らないように注意しましょう。
梨状筋症候群に効果があるストレッチ7
うつ伏せになって寝ます。
伸ばしたい方の膝を曲げて手で持ちます。右足を伸ばすなら右手で持つようにしていきます。
そのまま足を外側にもっていきます。この時に体を動かないようにしてください。
これを左右で15秒間ずつ行なって下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
梨状筋症候群は予防の段階での対処が重要です。
お尻に怠い、重い感覚が出たり、普段からしっかりストレッチをしてケアを行いましょう。
姿勢や骨盤の歪みが生じてしまうと治りも非常に悪くなります。
上記ストレッチをして全く痛みが変わらない場合は梨状筋の問題ではなく、違うところに問題がある場合があります。
一つの目安として、3回続けて行って変化があるかないかで判断をしていきましょう。
その状態になってしまった場合、しっかりとした治療が必要になるため一度ご相談ください。
ひこばえ整骨院梨状筋症候群施術手順
ひこばえ整骨院では体のバランス、癖、歪みを全て診ていき、それに合わせて施術を行っていきます。
そして、一番最短で最適な梨状筋症候群のストレッチなどをお伝えしていきます。
ご興味のある方は下記からご覧ください。
執筆者
ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)
柔道整復師(国家資格保持者)
業界歴16年。
18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。
現在ストレッチの本を執筆中。年内に発売予定。