数週間~1ヶ月以上続く首の痛み、肩や腕にかけての痛みのようなしびれのような気持ち悪さがある場合、それは頸椎(けいつい)ヘルニアかもしれません。
普段感じるような肩こり首コリのような重さや痛みではなく、じっとしているのも辛いと感じるほどの痛みとしびれは放っておくとどんどん悪化してしまいます。
頸椎ヘルニアは、症状の程度によっては手術しなければならないこともあります。
最近ではいきなり手術を行うように勧められるよりも、ブロック注射やけん引、頸椎カラーという補強器具を装着するなどの方法があります。
ですが、これらはあくまで対処療法となってしまいます。
手術をしないでももっと根本的に痛みの原因を改善していくことができるのです。
今回は頸椎ヘルニアの治療法についてお話していきます。
頸椎(けいつい)ヘルニアとは
頸椎ヘルニアとは、首の骨の間にあるクッションの役割をしているものが、神経を圧迫してしまった状態のものをいいます。
神経が圧迫されることによって、握力低下や首、肩、うで、指の痛み、しびれなどの症状が現れます。
首の骨の間にある軟骨(なんこつ)を椎間板(ついかんばん)といいます。
椎間板が骨と骨の間にあることで、首を曲げたり回したり自由に動かすときにスムーズに動かせるようになっています。
椎間板の役割は主にクッションです。
中心には髄核(ずいかく)というゲル状の細胞があり、それが背骨の動きに合わせて動くため、背骨にかかった負担や衝撃を分散させ吸収しています。
ですが、負担がかかりすぎてしまうと、椎間板では支えきれなくなり、負担を分散させる逃げ場をなくした髄核が外に出てしまうのです。
飛び出した髄核が神経を圧迫している状態をヘルニアと言います。
椎間板が飛び出て神経を圧迫している場所によって、片側に症状が現れたり両側に症状がでることもあります。
一度出てしまった椎間板を押し戻したり元通りの状態にすることはできません。
ヘルニアになっている体は変えられませんが、
実は痛みやしびれを改善していくことは可能なものなのです。
それは痛みやしびれの本当の原因がヘルニアではないからです。
そもそもは首にとって負担となるような悪い体の使い方をしてしまっていたのです。
そのために椎間板に繰り返し負担がかかっていたのが原因で、ヘルニアを起こしてしまうのです。
であれば首の負担にならないような体の使い方ができればヘルニアにもなっていなかった。
つまり、ヘルニアになってしまってからでも首に負担をかけないような体の使い方ができれば痛みは改善します。
体の使い方を変えていくことで、負担のかけ方を分散させていくことが可能となり、そうすることで痛みやしびれが改善します。
頸椎ヘルニアの原因
頸椎ヘルニアの原因は、主に姿勢や普段の体の使い方からくる負担の積み重ねです。
頸椎は本来の形では前側にしなるように緩やかにカーブしています。
日ごろの姿勢、体の使い方が悪くなっていると、この緩やかなカーブがなくなり、頸椎の柔軟性がなくなってしまいます。
その分首を支えなければならない首の筋肉をはじめ肩、背中、腰などの筋肉への負担が大きくなっていきます。
そしてそれはもちろん頸椎自体にも負担は溜まっていきます。
本来の柔らかさを失った頸椎の間にある椎間板にも負担がかかり続けることになり、それに椎間板が耐えることができなくなってヘルニアになります。
頸椎ヘルニアになった際、感覚的には「急になった」という感覚でしょうが、原因はもっと前からあった負担の積み重ねです。
結果的にヘルニアになったタイミングでたまたま限界がきて爆発してしまった、という形で現れます。
直接の原因が何かの行動をしたから、ということで起こるものはないのです。
そのため、だからこそ日ごろからの体のメンテナンスや違和感がで初めの対応が大切なのです。
年齢とともに椎間板のクッション性はなくなっていくこともヘルニアになる原因として言われます。
実際年齢とともに体の水分が減っていくことに伴って、水分を多く含む細胞の形が変わってしまうことを椎間板の変性(へんせい)といい、これも頸椎ヘルニアになる要因です。
ですが年齢を重ねたから必ず全員ヘルニアになるわけではありません。
腰椎のヘルニアでは重い荷物をよく持つ、などもヘルニアを起こす要因になります。
頸椎の場合そういった動作から受ける影響は少ないです。
そのかわり姿勢から受ける負担は大きなものであり、積み重なってしまうとヘルニアを起こすのです。
他にも交通事故や格闘技、激しいコンタクトスポーツといった、強い衝撃のあるものも頸椎ヘルニアを引き起こすこともあります。
頸椎ヘルニアの一般的な治療方法
一般的に頸椎ヘルニアの治療方法として、
薬、首を固定するコルセット、牽引(けんいん)、手術が
とても多い処置です。
どれも聞いた事がある方法ですし、全てを否定するわけではないですが、手術は絶対に避けるべきです。
手術適応のものもありますが、本当の最終手段として思っておかないと体に悪影響しか及ぼしません。
手術はできるだけ避けるようにしていきましょう。
頸椎ヘルニアを治す為に
体の使い方を変えることで、痛みやしびれを改善することは可能です。
ですが先ほどもお話した通り、一度飛び出た椎間板を元の位置に戻すことはできません。
ヘルニアで飛び出した部分はほぼ水分なので2~3ヶ月ほどで体の中に吸収される形になります。
神経を圧迫している部分がなくなるので痛みやしびれのピークは過ぎていきます。
ですが、特に治療をせずに姿勢や体の使い方が今まで通りになっていると、結局本当の原因は改善されていないため、再発の可能性が非常に高いのです。
再発するときはたいがい、同側の上か下の部分でまたヘルニアを起こしてしまうのです。
一度ヘルニアが出た部分で椎間板が再生されていくわけではないため、動きが本来のものではなくなってしまいます。
悪く言えば”動きが死んでる関節がある”と思ってください。
再発しないようにするには姿勢の改善や体のケアをしっかりと行なっていく必要があるのです。
自分でできる頸椎ヘルニアにお勧めのストレッチ
頸椎ヘルニアので痛みやしびれが強く出ているときは基本的に無理に動かしていく必要はありません。
動かせる場所から動かせる範囲ではじめていきます。
1.あぐらをかいて股関節の柔軟性をつける
足の裏をくっつけるようにしながらあぐらをかくような姿勢にしてください。
股関節を大きく開くように動かすことで股関節の内側の柔軟性がついていきます。
首に負担がかからないくらいで姿勢をまっすぐにしてください。
歯を磨いているときやテレビを見ている時でも構いませんので「ながら」で行なっていきましょう。
1回で1分間から2分間程度を目安に行なってください。
1日に何回まで、という制限は特にありませんので、時間がある限りやっていていたほうが効果的です。
股関節の動きがスムーズになると肩や首にかかる負担が軽減されます。
軽減をさせる為にも股関節の柔軟性は必要です。
2.バンザイをするストレッチ
壁に向かって立った状態でする方法と、床に四つん這いになった状態で行う2つの方法があります。
どちらも効果は同じなのでやりやすい方法で行うようにしましょう。
壁に向かって肩幅くらいに足を広げて立ち、手を万歳にしてそのまま壁にあてます。
手の位置はそのままにして、ゆっくりと体を倒し左右の肩甲骨を寄せるようにします。ゆっくりと吐きながら15秒数えます。
四つん這いでする場合は写真のように猫のポーズを取り腰を中に入れながら肩をストレッチしていきます。
体が硬い方はお腹や背中がストレッチされますし、ある程度柔らかい方は脇辺りがストレッチされるのが分かると思います。
どちらの方法も必ず息を吐きながら15秒間3セット行うようにしましょう。
痛みが強いときは避けて、動かせる範囲で行って下さい。
3.腕を開いて平泳ぎストレッチ
両腕を前に伸ばします。
背中を丸めず肩甲骨だけを押し出すイメージ、この姿勢をキープして下さい。(20秒~30秒)
※この時、図のように背中が丸まらないように注意
肘を高さをキープしたまま、両腕を開くように後ろに引く様にして下さい。
イメージとしては平泳ぎのようにしてぐるっと腕を回すようにして下さい。(20秒~30秒)
肩甲骨を引っ張るようにしながら胸を開いていきます。
肩甲骨をおこすイメージで両腕を上にあげます。
このストレッチをすることで肩甲骨から腕が伸ばされていきます。
この状態でキープして下さい。(20秒~30秒)
これを一連の流れとして行なっていきます。
平泳ぎをしているイメージで大きく動かすことで肩甲骨から腕、背中のストレッチをすることができます。
4.手のひらを上に向けて猫背を解消する
ストレッチの中で1番大切になっていくのが手のひらを上に向けると言う動作です。
下の写真のように手のひらを目一杯外側に捻るようにしてください。
小指側が天井に向くくらいまで捻ることがポイントです。
肩甲骨を開きながら外側に握る状態を10回から15回繰り返すようにしてください。
この動作を行うことで胸が大きく開くことがわかると思います。
隙間の時間に行うこともできるので積極的にどんどん回数を行ってください。
姿勢を改善するためにはとても有効な手段です。
他にも頸椎ヘルニアでお困りの方にお勧めの動画があります。
ぜひご参考にして下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は頸椎ヘルニアになってからの痛みやしびれの治療法やストレッチについてお話していきました。
ヘルニアになったから痛みがでる、ということよりもヘルニアになった原因があるから痛みが出ている、と考えて下さい。
ヘルニアになった原因の方から改善していくことができれば、痛みがでないように、負担のかけ方を変えて体を使うことができれば、痛みがでるようになったきっかけを改善していくことになります。
そうすることで痛みを根本から改善していくことができるようになるのです。
今ではヘルニアでの手術は以前ほど多くはないと言われています。
ですが、状態が悪くなっていけば手術を選ぶしか選択肢がなくなってしまうこともあります。
しびれのような神経の症状は長引けば長引くほど治りも悪く、残りやすいです。
痛みを我慢しないで、すぐに治療できるところを見つけましょう。
もし頸椎ヘルニアの症状でお悩みの場合、一度ひこばえ整骨院にご相談ください。
ひこばえ整骨院頸椎ヘルニアに対する治療
ひこばえ整骨院では頸椎ヘルニアの治療を非常に得意としています。
悪い部分だけを見るのではなくそれ以外の歩き方や立方体の使い方を全て見て一番最適な治療方法を選んで行きます。
もしあなたが頸椎ヘルニアによる痛み、しびれで悩まれているならば是非下記をご覧ください。
執筆者
ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)
柔道整復師(国家資格保持者)
業界歴16年。
18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。
現在ストレッチの本を執筆中。年内に発売予定。