運動した後に膝が痛む、こんなことありませんか?
特にバレーボール、バスケットボール、サッカー、マラソンなどのスポーツをしている人に多い膝の前の方に出てきやすい痛み。
最近のランニングブームもあって長距離ランナーにもみられることも多くあります。
これはジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)といわれるものです。
この記事では、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)についてお話をしていきます。
この記事を最後まで読まれた後には、自分で治療できる方法がわかり、日頃メンテナンスもわかります。
是非参考になさって下さい。
ジャンパー膝とは
ジャンパー膝とは、主に膝蓋骨の下に付く膝蓋靭帯で起こる炎症のことを言います。
原因ですが、すごくシンプルに言います。
膝の前に筋肉を使い過ぎて痛みが出てしまっている
以上です。
でもこれだけだと説明不足なのでもう少し細かく説明をします。
走る時も使う時も全てにおいてそうですが、足の前、内側、外側、後ろの筋肉を全て使います。
これが姿勢が悪かったり、重心が傾いていたり、使い過ぎて膝のお皿の前に筋肉の細かい繊維が切れてしまいます。
この筋肉を大腿四頭筋(だいたいしとうきん)といいます。
大腿四頭筋に負担のかかりやすいジャンプ動作で発症しやすい為、ジャンパー膝、と呼ばれています。
他にも足を蹴りだしたり地面の接地時に衝撃が加わりやすいランニングやダッシュが多いとなりやすいと言われています。
主にクラブ活動をしている若者に多くみられますが、趣味や日常で行なっているランニングなどでも痛めることがあります。
痛みの出方によって4つの時期に分けられます。
第一段階
運動後に痛みが出る。休むと改善する。
使った後に膝蓋靭帯に炎症が出るが、アイシングなどで治まる。
第二段階
運動中にも痛みが出てくる。特にジャンプ動作やダッシュをすると痛む。
運動中から炎症が出る。そのまま使い続けるので炎症が強く起こる。
安静時には痛みがないが、動くと痛みを感じる。
第三段階
運動中に支障をきたす強い痛みが出る。運動後も痛みがなかなか引かない。
日常の中でもズキズキした感覚があり、歩行の際にも痛みを感じる。
膝蓋靭帯の微小断裂が起こる。
第四段階
歩行時にも痛みが出る。歩くのが困難。日常安静にしていても強く痛みを感じる。
膝蓋靭帯に断裂が生じる。手術の適応になる。
ジャンパー膝と聞くとただの使いすぎと思われているかたもいらっやしゃるかもしれないですが、実はほったらかしにすると手術になる事にもなります。
非常に危ないものでもあるので十分に注意が必要です。
ここまでくると運動どころではなくなってきますが大体痛みで辛いというの2段階目で気づいて
おかしいぞ?
と思われる方が多いですね。
ジャンパー膝は何故なるのか?
ジャンパー膝は大腿四頭筋の使いすぎによるオーバーユース(使いすぎ症候群)の一種だと言われます。
ですが同じような動作をしていてもジャンパー膝になる人とならない人がいるのはなぜでしょう。
これは個人で体の使い方が違う為に、症状が出るかでないかが変わってくるのです。
主な原因は大きく分けて3つに分かれます。
姿勢
ジャンパー膝になる人の特徴は腰や背中が丸くなった状態が癖になっている、ということが考えられます。
腰や背中が丸くなることで、骨盤が後ろに倒れた状態になります。
これを骨盤が後傾している、と表現しますが、このように骨盤が後傾してしまうと必然的に膝が曲がったままになってしまいます。
筋肉は収縮されるだけでなく、伸ばされ続けることでも硬く張っていく為、このように膝が曲がった状態が常になると大腿四頭筋は常に引き伸ばされていることになります。
上記の写真を真似をして頂きたいですが、この姿勢になると太ももの前に常時力が入った状態になります。
空気をしているのと同じですね。
運動を行う際、この姿勢が基準になり、そこから踏ん張ったり地面を蹴ったりするため、膝が真っ直ぐ伸びている人と比べて大腿四頭筋に負荷がかかりやすくなるのです。
フォームが悪い、体の使い方が悪い
姿勢が悪いことからも関連していますが、運動時のフォームが悪いせいも考えられます。
特に歩き方、走り方が悪いと全ての運動の基本動作が悪い、ということになります。
例えば足が地面に着くときに足首の動きが悪いと衝撃が逃げずに膝や周囲の筋肉に負担が増えてしまいます。
また、ジャンプでもランニングでも足の着地時に、足先より前に膝が出てしまう癖があると体の重心が後ろになり、太ももの筋肉への負荷が増えます。
例えば下の写真
この写真は体が前に倒れていますよね。
この様な状態で走ると太ももの前に極端に力が入ってしまいます。
体重が目に乗る事で太ももの前に余計な力が入ってしまいます。
これだけもジャンパー膝の原因となります。
それに対して姿勢を真っすぐにすると重心が中心に入り、太ももの前の負担が軽減します。
これも大きな要因の一つなので、スタンスやフォーム改善も大切です。
これ以外にも、股関節が硬いとかがむときに骨盤が倒れた状態になり、結果的大腿四頭筋に負担が増えます。
他にも地面を踏み込むときに膝の位置が内側に捻じれてしまう癖があると、股関節にも捻じれが生まれ太ももの筋肉が通常よりも引き伸ばされやすくなってしまいます。
このように、単なる使いすぎなだけでなく、捻じれや体の使い方の悪さからの影響も、ジャンパー膝には関係します。
特に足首が内側に入ってしまうと外側ばかりに重心が逃げてしまうので本来体重が親指の方から逃げていくのに対して逃げ場所がないため膝に疲労感が溜まってしまいます。
下の写真を見て下さい。
歩くときの足の位置ですが、
赤い線を中心と考えていただきたいですが赤い線よりも内側に入ってしまうと股関節がねじれている証拠です。
またもうひとつの写真は赤い線よりも足先が離れすぎているのでこれも股関節と膝がねじれている証拠です。
このようにねじれている部分が多ければ多いほど太ももにかかる負担が増えてしまうのでジャンパー膝になってしまう可能性が強くなってしまいます。
正しい状態というのは赤い線の上にかかとの内側と親指が反るような形にする形が一番膝に負担がかからない走り方または歩き方になります。
次に膝の位置を見て頂きたいですが写真のように本来なら足の人差し指と中指から一直線上に足が出るようにしていきます。
この状態が正常な位置となります。
股関節の使い方が悪い形というのは下の写真のように膝の位置が中心よりも内側に入ってしまっているということが非常に多いです。
内側の 内転筋もよく使いますし太ももの前の筋肉も使ってしまうので使い方が偏ってしまいます。
このように膝の位置だけでも筋肉の使い方は十分に変わってきますので注意が必要です。
大腿四頭筋だけでなく、太もも裏の筋肉、ふくらはぎが硬い
大腿四頭筋が常に引き伸ばされている状態になるのは説明しましたね。
膝が曲がるということは曲げている側にあたる筋肉の存在も関係しています。
それが太ももの裏の筋肉、ハムストリングです。
特に膝は太ももの裏側の筋肉と、ふくらはぎに伸びる筋肉がすれ合う位置にあたります。
ふくらはぎの筋肉も膝の関節をまたいで太ももの骨につくため、膝を曲げる働きがあり、膝が曲がりっぱなしだとふくらはぎも硬く張ってきます。
これらが硬く張ってくると地面からの衝撃を逃がす為の柔軟性がなくなってしまい、結果的に大腿四頭筋に負担が強くかかることになります。
このような理由からジャンパー膝になりやすい人、なりにくい人がいるのです。
ジャンパー膝でストレッチをすることで得られる効果
ジャンパー膝の場合、膝周囲の筋肉が硬くなっているために起こるため、ストレッチは有効な手段のひとつです、
ジャンパー膝を治すにあたっても、ストレッチは欠かせないものです。
痛みの程度や状態によっても変わりますが、膝以外の部分のストレッチを行なったりするのも大切です。
例えば足首の関節が硬いままであると痛みが引いても、また同じ使い方をしてしまうために同じような痛め方をしてしまいます。
ジャンパー膝をはじめとする使いすぎ症候群全てに当てはまることですが、一時的に使わなくなれば痛みはなくなります。
ですが、結局その使い方の癖自体を変えていかなければ、痛みを繰り返すことになるため治ったとは言えません。
痛みを繰り返さないためには自分の癖を変えていくことが重要です。
ストレッチを行なうことで、癖の改善や体の動かせる範囲の拡大にもつながります。
そのためストレッチは、ジャンパー膝の再発予防という意味で大変重要になるのです。
ジャンパー膝に効果的なストレッチ
おすすめのストレッチを4つお伝えします。
お風呂上りは特に効果が上がるので、是非参考になさって下さい。
注意点が3つあります。ストレッチを行う前に一読ください。
- 痛みがあるのにも関わらず無理やりストレッチはしない
- 動的ストレッチと静的ストレッチを使い分ける
- 湯船に3つのポイントを守りながらストレッチをしてください。
動的ストレッチは反動をつけるストレッチなのでイメージで言うとラジオ体操のような感じです。
静的ストレッチというのはじんわりゆっくり持続的に伸ばすというようなイメージでストレッチをします。
間違ってもこの二つのストレッチ方法を反対にしないようにしてください。
大腿四頭筋のストレッチ
やり方は2つあります。
座ってストレッチをする場合は下の写真のように片方の足を伸ばし片方の足を正座のようにして座るようにしてください。
後ろ側に体重をかけていくと曲げた方の太ももの前が伸ばされていくのでそのまま15秒間以上持続的に伸ばすようにしてください。
1日に3回を目安に行っていただきたいですがそれ以上こなってもらっても構いません。
立ってする場合は
壁や椅子の近くに立ちます。
片手で壁や椅子持ちながら、自由になっている方の手の側の足を膝から下だけを後ろに曲げるようにして、同側の手で曲げた足首、もしくは足の甲を支えます。
その状態で真後ろに足を引くように伸ばして、太ももの前の部分にストレッチをかけていきます。
このとき腰が反らないように、下腹になるべく力を入れて骨盤の向きを固定して行います。
ゆっくり伸ばしながら15秒〜20秒間その体勢を維持します。
ハムストリングのストレッチ
片方の足を胡坐をかくようにして曲げ、もう片方の足は膝を伸ばして体の前に出します。
膝が伸ばしきれない人は可能な限り力を入れずに伸ばせる範囲で伸ばします。
手は伸ばしている側の膝の上に置き、その姿勢から一度背筋を伸ばして息を吸い、息を吐きながら膝を伸ばしている方に体を倒していきます。
力を抜いて膝が曲がってこない範囲で体を倒していきましょう。
体を曲げきったところで15秒〜30秒キープします。
これを左右行います。
ふくらはぎのストレッチ
壁に向かって立ちます。
片足を前に出し踵を立てて、膝を伸ばしたままできるだけつま先が上に向くようにした状態で壁につま先を当てます。
この時、地面から踵が離れないようにします。
足の角度は固定したままで、膝を伸ばしたまま壁に体を近づけていきます。
この時小指側に足首が倒れていかないようにしっかり真っ直ぐ行うよう気を付けましょう。
これでふくらはぎが伸びるので、15〜30秒間維持します。
これを左右行います。
お尻のストレッチ
椅子に座ります。
片方の足を胡坐をかくようにして、反対側の膝の上に足首あたりを乗せます。
乗せた方の足首は90°にして背筋を伸ばします。
ここからお腹とふくらはぎを近づけるようにして体を前に倒していきますが、背中が丸くならないように気を付けましょう。
力を抜いて息を吐きながらリラックスして倒れる範囲で体を倒していきます。
これでお尻から太ももの外側の筋肉が伸ばされます。
左右同様に15〜30秒間行ないます。
以上がジャンパー膝に効果的なストレッチです。
ジャンパー膝を治すためにはストレッチを絶対にする必要があります。
1日にすべてのストレッチを2回から3回繰り返していただくと1番理想的です。
休みの日や時間がある時は1回ずつの時間を増やしたり回数を増やしていただいても構いません。
下記の動画でも説明をしているので参考になさって下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
もともとは部活などで練習をして痛めることが多かったため10代〜20歳までに多いものでしたが、最近では日常で行うランニングで膝を痛めることも多くなっています。
趣味で始めるために走り方がオリジナルになり、もともとの姿勢や体の使い方が悪いため結果的に練習が積み重なって痛みが出る、ということが非常に多いのです。
また、仕事など日常の使い方が悪くても同じように足に痛みを生じてしまう事もあります。
ジャンパー膝を我慢をして練習を続けてしまうと痛みが悪化してしまいやすく、そうなると治療に要する期間が延びていくだけです。
放っておいて治るものであれば3日もあれば身体は回復しますが、それより痛みが続いていたり練習の度に痛みが出るのであれば、しっかりと治療が必要な状態だと思いましょう。
膝に関して痛みや違和感がでてお悩みであれば、ぜひ一度ひこばえ整骨院にご相談ください。
ひこばえ整骨院のジャンパー膝に対する施術
ひこばえ整骨院ではジャンパー膝に対する施術をとても得意としています。
膝の痛みを治すのには必ず専門的な知識が必要です。
きっちりと施術をすれば改善をします。
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執筆者
ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)
柔道整復師(国家資格保持者)
業界歴16年。
18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。
現在ストレッチの本を執筆中。年内に発売予定。